古今東西、禁断の恋愛の代名詞と言えば『不倫』。理性では「してはいけない」と分かっていながらも、人の心を強く惹きつけてしまう――それが不倫というテーマの恐ろしさであり、同時に物語としての魅力でもあります。背徳感、罪悪感、そして一瞬の幸福。そうした感情が複雑に絡み合う不倫は、映画というフィクションの世界において、これ以上ないほど人間の本質を浮き彫りにします。
「不倫に少し興味はあるけれど、実際に踏み出す勇気はない」「不倫の先にはどんな末路が待っているのか知りたい」「感情が壊れていく過程を客観的に見てみたい」――そんな方こそ、不倫をテーマにした映画は一種の“疑似体験”として強烈な示唆を与えてくれます。ここでは、見出し名称はそのままに、不倫映画の中でも特に印象深く、語り継がれてきた名作をランキング形式でご紹介します。
- 不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第1位:失楽園
- 不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第2位:マディソン郡の橋
- 不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第3位:夜明けの街で
- 不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第4位:幸福の条件
- 不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第5位:死刑台のエレベーター
- 不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第6位:危険な情事
- 不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第7位:東京タワー
- 不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第8位:花様年華
- 不倫がテーマのおすすめ映画ランキング
不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第1位:失楽園

出版社に勤める久木は、社内での立場を失い、いわば“閑職”に追いやられた中年男性です。仕事における達成感も家庭内での居場所も曖昧になり、心の拠り所を失った彼は、ある偶然をきっかけに書道講師の凛子と出会います。凛子もまた、夫との関係に空虚さを抱えながら生きている女性でした。
互いに家庭を持つ身でありながら、久木の強烈な欲望と感情に応えるように、凛子は彼を受け入れていきます。それは単なる肉体関係ではなく、これまで抑圧されてきた感情と性の解放でもありました。二人は逢瀬を重ねるごとに、日常から切り離された“二人だけの世界”へと深く沈んでいきます。
しかし、不倫という関係は長く隠し通せるものではありません。やがて二人の関係は露見し、職場、家庭、社会から徹底的に排除されていきます。誰にも理解されず、戻る場所を完全に失った二人が選ぶ「究極の選択」は、観る者に強烈な余韻と問いを投げかけます。
日本映画において不倫を語る上で、『失楽園』は避けて通れない存在です。西洋における『マディソン郡の橋』が静かな情熱を描いた作品だとすれば、本作は日本的な閉塞感と性、そして破滅までを真正面から描いた“東の失楽園”。甘く、そして苦い禁断の蜜を味わいたい人には必見の一本です。
■国:日本
■作品公開時期:1997年
■監督:森田芳光
■主演:役所広司/黒木瞳
■amazonリンク:失楽園
不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第2位:マディソン郡の橋
物語は、マイケルと妹キャロリンが、亡き母の葬儀の準備のために故郷へ戻るところから始まります。そこでマイケルは、母が遺した手紙と日記を見つけます。そこに綴られていたのは、家族さえも知らなかった、母の人生でたった一度だけ訪れた激しく、そして切ない恋の記録でした。
舞台はアイオワ州マディソン郡。平凡な主婦だった母フランチェスカは、写真家ロバートと出会い、わずか4日間だけの恋に身を投じます。その4日は、彼女の人生を根底から揺さぶるほど濃密で、永遠にも思える時間でした。しかし彼女には夫と子どもがいます。選べる道は限られており、その選択はあまりにも重いものでした。
本作は、不倫という行為を刺激的に描くのではなく、「選ばなかった人生」「心に残り続ける後悔」という視点から描いている点が特徴です。燃え上がる情熱よりも、その後の人生に静かに降り積もる想いの重さが、観る者の胸を締めつけます。
原作は全米で大ヒットした小説で、主演・監督を務めたのはクリント・イーストウッド。実在するマディソン郡の橋は、本作の公開後に観光名所となり、不倫映画の象徴的な舞台として今も語り継がれています。『マディソン郡の橋』は、不倫の“その後”を考えさせられる名作です。
■国:アメリカ合衆国
■作品公開時期:1995年
■監督:クリント・イーストウッド
■主演:クリント・イーストウッド/メリル・ストリープ
■amazonリンク:マディソン郡の橋
不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第3位:夜明けの街で
若く美しい派遣社員・秋葉と、ごく平凡な家庭を持つ中年サラリーマン・渡部。どこにでもいそうな二人が出会い、不倫関係に陥るところから物語は始まります。刺激のない日常に倦んでいた渡部は、秋葉の存在によって再び“男”としての自分を取り戻したかのように錯覚していきます。
しかし、彼女との関係が深まるにつれ、渡部は不可解な事件に巻き込まれていきます。やがて明らかになるのは、秋葉が15年前に起こった殺人事件と深く関わっているという事実。不倫のスリルと、殺人事件の謎が同時進行で進んでいく展開は、観る者を一瞬も飽きさせません。
本作の魅力は、不倫という背徳行為と、嘘を重ね続ける心理的プレッシャーをリアルに描いている点にあります。家庭を守るためにつく嘘、愛人を失わないためにつく嘘、その全てが主人公の首を徐々に絞めていきます。
原作は東野圭吾による同名小説。不倫とミステリーという異なるジャンルを巧みに融合させた『夜明けの街で』は、単なる恋愛映画ではなく、人間の弱さと欲望を鋭く描いた作品として高く評価されています。
■国:日本
■作品公開時期:2011年
■監督:若松節朗
■主演:岸谷五朗/深田恭子
■amazonリンク:夜明けの街で
不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第4位:幸福の条件
夫の突然の解雇によって、生活が一気に崖っぷちに追い込まれた夫婦。起死回生を狙って訪れたラスベガスで、彼らはギャンブルにすべてを賭けるものの、結果は惨敗。全財産を失い、文字通り何も残らない状況に陥ってしまいます。
そんな二人の前に現れるのが、莫大な財産を持つ謎の富豪。彼は、信じがたい条件を提示します。「妻を一晩貸してくれるなら、100万ドルを支払おう」。あまりにも非常識で、しかしあまりにも魅力的な条件。悩みに悩んだ末、夫婦はその条件を受け入れてしまいます。
一夜限りの取引だったはずの出来事は、夫婦の関係に深刻な亀裂を生みます。嫉妬、後悔、屈辱、そして欲望。金によって一度壊れた信頼は、簡単には元に戻りません。やがて妻ダイアナは、富豪の男に再び惹かれていくようになり、物語は予想外の方向へ進んでいきます。
ロバート・レッドフォードとデミ・ムーアが体現するのは、「金と愛」「選択の代償」という重いテーマ。『幸福の条件』は、不倫が必ずしも恋愛感情だけで始まるわけではないこと、そして一度下した選択が人生をどれほど変えてしまうのかを、痛烈に描いた作品です。
■国:アメリカ合衆国
■作品公開時期:1993年
■監督:エイドリアン・ライン
■主演:ロバート・レッドフォード/デミ・ムーア/ウディ・ハレルソン
■amazonリンク:幸福の条件
不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第5位:死刑台のエレベーター
完全犯罪を夢見た不倫が、静かに破綻していくサスペンス
社長夫人の芽衣子は、満たされない結婚生活の裏側で、愛人である医師・隆彦との関係を続けている。二人の関係は単なる密会にとどまらず、やがて芽衣子の夫を自殺に見せかけて殺害するという、冷酷で緻密な計画へと発展していく。感情に流された衝動的な犯行ではなく、「完全犯罪」を前提として組み立てられた計画である点が、この物語の不穏さを際立たせている。
しかし、運命は皮肉な形で二人を試す。計画実行の最中、隆彦がエレベーターに閉じ込められるという致命的なアクシデントが発生し、事態は想定外の方向へ転がり始める。さらに無関係に見えた別の殺人事件が絡み合い、完璧だったはずの計画は、徐々に歯車を狂わせていく。不倫という秘密の関係が、いかに脆く、予期せぬ偶然に弱いものであるかを、観る者に突きつける展開だ。
不倫が引き金となり、殺人事件へと発展する作品自体は珍しくない。しかし本作が印象的なのは、最初から理性と計算によって組み立てられた関係と計画が、ほんの些細な偶然によって崩壊していく過程を、淡々と、そして冷酷に描いている点だ。愛情と欲望、理性と過信、その境界線が曖昧になったとき、人はどこまで転落するのか——不倫映画でありながら、極上の心理サスペンスとしても楽しめる一本である。
■国:日本
■作品公開時期:2010年
■監督:緒方明
■主演:吉瀬美智子 / 阿部寛
不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第6位:危険な情事
「遊びのつもり」が破滅に変わる、不倫映画の金字塔

妻子を持ち、仕事も順調、何不自由ない日常を送っていた弁護士のダン。彼にとって人生は安定そのものであり、不満らしい不満も存在しなかった。そんなダンが、妻子不在の週末に出席したパーティーで出会ったのが、雑誌編集者のアレックスだった。軽い気持ちで始まった一夜限りの関係。それはダンにとって、日常の退屈を紛らわす「火遊び」にすぎなかった。
しかしアレックスにとって、その一夜は全く違う意味を持っていた。彼女はそれを「運命の出会い」と信じ込み、次第にダンの生活へと侵食していく。最初は情熱的だった関係は、やがて執着と狂気へと姿を変え、ダンとその家族を追い詰めていく。不倫がもたらすリスクを、これほどストレートかつ容赦なく描いた作品は他に類を見ない。
本作が強烈なのは、不倫を美化する余地を一切与えない点にある。既婚者の「少しだけなら」という油断が、どれほど取り返しのつかない結果を招くのかを、観る者に突きつける。双方の利害や感情が噛み合っている間は甘美でも、そのバランスが崩れた瞬間、不倫は凶器に変わる——まさに「不倫はダメ、ゼッタイ」という強烈なメッセージを刻み込む、教訓的かつスリリングな一本だ。
■国:アメリカ合衆国
■作品公開時期:1987年
■監督:エイドリアン・ライン
■主演:マイケル・ダグラス / グレン・クローズ
不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第7位:東京タワー
年齢差と既婚という壁を越えてしまった、静かな禁断の恋
経済的にも精神的にも自立し、穏やかな結婚生活を送っていた詩史。彼女が経営するセレクトショップに、ある日、友人の陽子が息子の透を連れて訪れる。何気ない再会から始まった交流は、やがて詩史と透の間に、抗いがたい感情を芽生えさせていく。20歳という大きな年齢差、そして詩史が既婚者であるという現実。それらすべてを理解したうえで、それでも惹かれ合ってしまう二人の姿が、静かに描かれていく。
本作は、激しい情熱や破滅的な展開で観客を煽るタイプの不倫映画ではない。むしろ、抑制された感情表現と、東京タワーという象徴的な存在を通して、登場人物たちの内面を丁寧に掘り下げていく。若い青年のひたむきで真っ直ぐな愛情を前に、理性と罪悪感の間で揺れ動く詩史の葛藤は、多くの観客にとって決して他人事ではないはずだ。
恋愛小説の名手として知られる江國香織の原作らしく、言葉にされない感情や、沈黙の中にある温度が、この映画の魅力となっている。特に、黒木瞳と岡田准一が醸し出す静かな色気と美しさは圧巻で、不倫というテーマを扱いながらも、どこか純愛に近い余韻を残す作品に仕上がっている。
■国:日本
■作品公開時期:2005年
■監督:源孝志
■主演:岡田准一 / 黒木瞳
不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第8位:花様年華
不倫を「美」として描き切った、永遠の名作
1962年の香港。新聞社に勤めるチャウと、商社で秘書として働くチャン夫人は、同じ日に同じアパートへ引っ越してくるという偶然から出会う。やがて二人は、それぞれの配偶者が不倫関係にあることを知り、同じ痛みと孤独を共有する存在となっていく。その共感は、次第に危うい親密さへと変わり、二人は自分たちもまた、越えてはならない一線に足を踏み入れていく。
本作が特別なのは、不倫という背徳的な関係を、刺激やスキャンダルとして消費するのではなく、徹底した美意識のもとで描き切っている点にある。言葉よりも視線、沈黙、すれ違いの間合いによって語られる二人の感情は、観る者の想像力を強く刺激する。決して露骨ではないのに、これほどまでに官能的で切ない不倫映画は稀だろう。
ウォン・カーウァイ監督ならではの映像美も健在で、トニー・レオンとマギー・チャンの存在感が、作品全体を支配している。特に人妻役を演じるマギー・チャンのチャイナドレス姿は、抑えられた感情と女性としての色香を同時に表現し、多くの観客の記憶に焼き付いてきた。不倫を肯定するわけでも、断罪するわけでもなく、その「間」にある感情を描き切った、不倫映画の到達点とも言える傑作である。
■国:香港 / フランス
■作品公開時期:2000年
■監督:ウォン・カーウァイ
■主演:トニー・レオン / マギー・チャン
不倫がテーマのおすすめ映画ランキング
不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第9位:イングリッシュ・ペイシェント
第二次世界大戦末期の北アフリカ戦線。砂漠で重度の火傷を負い、全身を包帯で覆われた男が野戦病院へと運び込まれるところから物語は始まります。彼は自分の名前すら思い出せず、「イギリス人の患者(イングリッシュ・ペイシェント)」として扱われ、若い看護婦ハナの献身的な看護を受ける日々を送ることになります。死の気配が漂う病室の中で、彼の記憶は断片的に過去へと遡り、やがて自分が人妻と深い不倫関係にあったこと、そしてその恋が取り返しのつかない悲劇へと向かっていったことを思い出していくのです。
本作は単なる不倫映画ではありません。戦争という極限状態の中で芽生えた愛、道徳や立場を超えて惹かれ合ってしまう人間の弱さ、そして「愛した」という事実だけが残る残酷さが、詩的な映像とともに描かれます。1996年の米アカデミー賞で作品賞を含む9部門を受賞したのも納得の完成度で、観る者の感情を静かに、しかし確実に締め付けてきます。特にヒロインが辿るあまりにも悲劇的な運命は、観終わった後も長く心に残り、「不倫とは何なのか」「それでも人はなぜ愛してしまうのか」と問いを投げかけてくるでしょう。
■国:アメリカ合衆国
■作品公開時期:1996年
■監督:アンソニー・ミンゲラ
■主演:レイフ・ファインズ/クリスティン・スコット・トーマス
■amazonリンク:イングリッシュ・ペイシェント
不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第10位:ピアノ・レッスン
19世紀のニュージーランド。言葉を話すことができず、ピアノの音色だけを自らの感情表現として生きる女性エイダは、政略結婚同然で嫁いだ先の夫に理解されることなく、心を閉ざしたまま日々を過ごしています。夫は彼女の大切なピアノを家に運ぶことを拒み、浜辺に置き去りにしてしまう。その浜辺で娘とともにピアノを弾くエイダの前に現れるのが、原住民と関わりを持つ孤独な男ベインズです。
ベインズはピアノを引き取った代わりに、「黒鍵の数だけレッスンをしてくれたら返そう」と提案します。そのレッスンは次第に音楽の域を超え、触れ合い、欲望、そして禁断の愛へと変化していきます。言葉を持たないエイダと、不器用なベインズの関係は、不倫でありながらも非常に官能的で、同時に切実です。第66回アカデミー賞で8部門ノミネート、3部門受賞という評価も、本作が単なるスキャンダラスな恋愛映画ではなく、芸術作品として高く評価されている証でしょう。
ピアノを中心に流れる音楽、美しい自然描写、そして抑圧された感情が一気に解き放たれる瞬間の衝撃。何度見返しても新しい発見があり、「不倫映画」という枠を軽々と超えて、人間の本質的な欲望と自由を描き切った一本です。
■国:オーストラリア/ニュージーランド/フランス
■作品公開時期:1993年
■監督:ジェーン・カンピオン
■主演:ホリー・ハンター/ハーヴェイ・カイテル
■amazonリンク:ピアノ・レッスン
不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第11位:愛の流刑地
長年スランプに苦しむ恋愛小説家・村尾菊治は、かつての栄光を忘れられず、空虚な日々を送っていました。そんな彼の前に現れるのが、熱烈なファンを自称する人妻・入江冬香です。二人は急速に距離を縮め、やがて肉体関係に発展します。夫との関係では得られない強烈な快楽に溺れていく冬香は、次第に常軌を逸した言動を見せるようになり、ついには性行為中に「首を絞めて殺して」と口走ってしまう――。
本作は、不倫がもたらす破滅を真正面から描いた衝撃作です。愛が高まるほど理性が失われ、倫理も社会的立場も無意味になっていく過程は、観ていて恐ろしくもありますが、同時に目を逸らせない引力を持っています。実際に起きた阿部定事件を想起させる展開もあり、「愛とはどこまで人を狂わせるのか」という問いを突きつけてきます。
決して肯定できる行為ではないと分かっていながらも、人を殺めてしまうほどの愛情が存在するという現実。その極端な愛の形を、映画というフィクションを通して目撃することで、不倫というテーマの危うさと恐ろしさを改めて感じさせられる作品です。
■国:日本
■作品公開時期:2007年
■監督:鶴橋康夫
■主演:豊川悦司/寺島しのぶ
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不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第12位:恋におちて
建築技師のフランクは、妻と二人の息子に囲まれた一見幸せな家庭を築いています。一方でモリーは、夫との関係が冷え切った結婚生活に虚しさを抱えていました。二人はクリスマスイブの書店で偶然出会い、プレゼントが入れ違うという小さな出来事をきっかけに、同じ電車で通勤・帰宅するようになります。
この映画の特徴は、最後まで肉体関係に踏み込まない点にあります。ただ同じ電車で会話を重ねるだけ。それでも心は確実に惹かれ合い、互いの存在が日常の支えになっていく。そのプラトニックな関係性こそが、本作を「不倫映画の最高傑作」と呼ばせる理由でしょう。ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープが演じる抑制された感情の演技は圧巻で、特にラストシーンは映画史に残る名場面として語り継がれています。
「一線を越えない不倫」という矛盾した関係が、これほどまでに切なく、美しく描かれた作品は他にありません。不倫でありながら、純愛映画でもあるという稀有な一本です。
■国:アメリカ合衆国
■作品公開時期:1984年
■監督:ウール・グロスバード
■主演:ロバート・デ・ニーロ/メリル・ストリープ
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不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第13位:海猫
函館に暮らす美輝は、母親の過去の不倫という醜聞が原因で、婚約者から一方的に婚約を破棄されてしまいます。母・薫は漁師町で結婚し、美輝を産みましたが、その後夫の不倫をきっかけに、夫の弟――つまり義弟と不倫関係に陥ってしまいました。町中から激しい非難を浴びた母は自ら命を絶ち、さらに義弟も後を追うように自殺します。
この負の連鎖は、時代を超えて娘である美輝の人生にも影を落とします。母と同じように、報われない恋、許されない関係に苦しむ美輝の姿は、不倫が個人の問題に留まらず、家族や次の世代にまで影響を及ぼすことを強烈に示しています。故・森田芳光監督が描いた本作は、日本版ロミオとジュリエットとも言える悲恋であり、男尊女卑が色濃く残る漁師町という閉鎖的な社会が、悲劇をより深いものにしています。
最悪の結末を迎えながらも、海猫の鳴く海の風景とともに、不倫という行為の重さと切なさについて静かに考えさせられる作品です。
■国:日本
■作品公開時期:2004年
■監督:森田芳光
■主演:伊東美咲/佐藤浩市/中村トオル
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不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第14位:ことの終わり
1940年代のロンドン。作家モーリスには、人妻サラとの密かな情事という唯一の心の拠り所がありました。しかしある日、サラは意味深な言葉だけを残して彼の前から姿を消してしまいます。二年後、再び彼女の存在を感じたモーリスは、サラが自分以外の何かを選んだのではないかという疑念に囚われていきます。
原題は『The End of the Affair』、その名の通り「不倫関係の終わり」を描いた物語です。本作の魅力は、不倫そのものよりも「終わった後」に焦点を当てている点にあります。なぜ彼女は去ったのか、愛は本当に終わったのか――ミステリーのような構成で真実が少しずつ明らかになっていく展開は、不倫と秘密が非常に相性の良いテーマであることを再認識させます。
第二次世界大戦前後のロンドンの空気感を忠実に再現した映像美と、宗教観や運命論を絡めた重厚なストーリーは、大人向けの不倫映画として非常に完成度が高い一本です。
■国:イギリス/アメリカ合衆国
■作品公開時期:1999年
■監督:ニール・ジョーダン
■主演:レイフ・ファインズ/ジュリアン・ムーア
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不倫がテーマのおすすめ映画ランキング 第15位:リトル・チルドレン
郊外の平穏に潜む「満たされなさ」から始まる関係性
夫と3歳の娘を持つ専業主婦サラは、穏やかで安全そうに見える郊外住宅地「ウッドワード・コート」へ引っ越してきたばかり。新しい環境での生活に期待を抱きつつも、いわゆる“公園デビュー”で出会う他の主婦たちの輪にどうしても馴染めず、どこか居心地の悪さを感じながら日々を過ごしています。会話は表面的で、互いを値踏みするような視線が飛び交う空気に、サラは次第に孤独感を募らせていきます。
そんな中、公園で出会ったのが主夫として家庭を支えながら、司法試験に挑戦し続けている若い男性ブラッド。彼もまた、社会的な成功や自尊心を十分に満たせないまま、どこか宙ぶらりんな感情を抱えている人物です。最初は軽い雑談や共感から始まった二人の関係は、互いの「わかってほしい」という欲求に触れることで、徐々に親密さを増していきます。
女性主動で描かれる、静かに深まる不倫のリアル
本作が印象的なのは、不倫関係においてサラが比較的主体的に描かれている点です。従来の不倫映画にありがちな「誘惑される側の女性」ではなく、彼女自身が退屈や孤独、自己否定感から抜け出すために関係へ踏み込んでいく姿が丁寧に描写されます。子ども同伴で公園に集い、日常の延長線上で堂々と関係を続けていく様子は、背徳感と同時に妙な現実味を帯びており、現代社会の価値観の揺らぎを象徴しているようにも感じられます。
やがて二人は「一線を越えた関係」にのめり込んでいきますが、その描写は過度に情熱的というよりも、どこか淡々としており、むしろ虚しさや不安がにじみ出るのが特徴です。これは単なる恋愛映画ではなく、不倫という行為の裏側にある心理的な空洞を描いた作品であることを強く印象づけます。
物語を一変させる“外部の脅威”と郊外社会の歪み
物語の中盤以降、性犯罪で服役していた男が街に戻ってくることで、作品は一気に別の表情を見せ始めます。住民たちの恐怖や排他的な感情が露わになり、表向きは理性的で善良に見える郊外コミュニティの裏側に潜む攻撃性や偽善が浮き彫りになります。
この出来事は、サラとブラッドの不倫関係とも巧妙にリンクし、「正常」と「逸脱」の境界がいかに曖昧であるかを観る側に突きつけます。誰もが安全で正しい側に立っているつもりでいながら、実はそれぞれが何かを隠し、何かから目を逸らして生きている。その構造が、不倫というテーマを通して静かに、しかし鋭く描かれていきます。
テンポよく観られるが、後味は決して軽くない一本
全体としてテンポは良く、派手な展開や過剰な演出も少ないため、比較的ライトな感覚で観られる作品ではあります。しかし鑑賞後には、「もし自分がこの立場だったらどうするだろうか」「満たされない日常の中で、どこまで理性を保てるのか」といった問いがじわじわと残ります。
■国:アメリカ合衆国
■作品公開時期:2006年
■監督:トッド・フィールド
■主演:ケイト・ウィンスレット/パトリック・ウィルソン
■Amazonリンク:リトル・チルドレン
不倫をテーマにした映画は、刺激や背徳感だけでなく、人間の弱さや社会構造の歪みを映し出す鏡でもあります。本作はその中でも特に、日常に潜む「満たされなさ」がどのように関係性を狂わせていくのかをリアルに描いた一本です。男も女も、一度は不貞の愛に憧れを抱くものですが、家庭を持つ身で他のパートナーと恋愛をすることには、感情面・社会面ともに大きなリスクが伴います。そうした現実を疑似体験し、考えるきっかけとしても、この15本をぜひ手に取ってみてください。


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